“教科書24p通り!” 昔指導を受けていたコーチが練習通りのプレーができたときによく使っていた言葉だけど、私にとってはあまり好きな表現ではなかった。今振り返ってみれば、なんとも日本らしい表現というか。逆に教科書に書いてあることでなければ正解にはなり得ないのかと腑に落ちなかったのかもしれない。実際にピッチの上でも、自分たちでヴィジョンを共有して答えを導き出すというよりは、監督の求める答えを探すという感覚のほうが強かったし、それ以外を答えとしてしまったら怒鳴られると弱気になっていたチームメイトたちもいたように感じる。
大学生になってアメリカ人と日本人を両方をコーチングをしたとき、それぞれの子どもたちの違いにびっくりしたのを覚えている。アメリカの子どもたちは比較的自由な子が多い。ミニゲームなどをみていても、”おーそこでそうくるの?”と、簡単に想像の上を超えてくる子どもたちのプレーに対して他の指導者たちと一緒になって盛り上がっていた。(笑) 反対に日本の子どもたちはとても指導がしやすい。練習メニューを伝えればきちんと言われた通りにメニューをこなしていくし、覚えもよい。Butlerで1週間のキャンプを終えてから、現地の日本人学校でのサッカーキャンプに参加し、子どもたちの行儀のよさに感動したのを覚えている。(笑) どっちが優れているなどではなく、単純になかなか読めないアメリカの子どもたちのプレーもみていて楽しかったし、メニューをこつこつとこなして成長していく日本の子どもたちとの時間も楽しかった。
地元である広島に帰省するときは毎回小学校に招いていただき、サッカー教室や私の経験などを話す機会がある。その後に教職員の方達と食事に行って、日本の教育などについて話を聞いたり、逆に上記のような私の経験を話したりする。そのなかで、少なくとも私たちの会話のなかであがった日本の子どもたちが抱える課題として、自分で考えて行動できる子が少ないということ。聞き分けがよく、指導しやすいと感じていた部分も、度がすぎると言われなければ行動できないとなってしまうと。そういう話をしていたとき、私の心に思い浮かんでいたのは上記の”教科書24p通り!”という言葉。ひょっとしたら教室でも子どもたちは先生が求める答えを探してしまっているのかなと考えた。
子どもたち自身が自分で考え実行し、例えそれが結果として失敗に繋がったとしてもそれをよしとできる心を持つ。もちろん失敗のまま終えてしまってはそれもまた問題だが、そこまでの段階がそもそも欠けているのかなと。そうこう考えているうちにふと思い出した、Make Your Own Ball Dayでのある男の子の姿。彼がボールをつくるために持ってきたのはシリアルの四角い箱とキャラクターがプリントされたテープ。スタッフが他にも準備していた素材には見向きもせず、その子は箱の周りをテープを貼ってデコレーションし、”ぼくのつくったボールみて!”と満面の笑みで見せつけにきてくれた。結局蹴りずらかったのか、サッカーからアメフトに変わってたけど、最後まで他の友だちと楽しそうにプレーしてた。ボールだからといって球状でなければならないわけではないし、そういう自由な発想を持ち、かつそれを表現することを恐れない。
周りと調和することに長けている日本の子どもたちだからこそ、相手の心を感じることにも優れているし、逆にその心に気づいてありがとうと伝えられることもできる。そんな子どもたちが、そのうえで自分の考えを持ち、それをどんどん発信していけるようになればよりよくなれると思う。そしてそれを促していくにはやっぱり遊び/playをプラットフォームにするのがよいのかと。小さかった頃の私自身がそうであったが、遊びに夢中になっているときに失敗や周りの目なんて気にしたことはない。調子に乗りすぎて親に叱られないと歯止めが効かなくなることもあったが、そのなかで良し悪しのバランスも学んでいったように思う。だから、Make Your Own Ball Day Japan Officeの活動では、子どもたちにはまずは思いっきり夢中になって楽しみ、そのなかで自分を表現してもいいのだということに気づけてもらえるようポジティブな環境をつくっていきたい。
“BALL + KIDS = PLAY”
ボールと子どもが揃えば遊ぶ/プレーする他ない。 Make Your Own Ball Day Japan Officeの活動ではボールを媒体として、子どもたちの笑顔や未来の創造の後押しができればと思います。
Make Your Own Ball Day Japan Office クラウドファンディング挑戦中です。詳細は以下のリンクにて ↓↓↓