May 13 Monday 2019

足りないもの

最近なにかと会話のテーマとしてあがる”ブランディング”。まずブランドときいて思い浮かぶのは例えばナイキ、アディダスなどのメーカーロゴ。ぱっと見なんの変哲もないTシャツがなぜこんなに値が張るのかと思えば、さり気なく入れられているロゴをみて合点がいったり。ブランドとは他との区別をつけるための違いだったり、人の心にコンディショ二ングされた価値のことだと考えています。そのためブランディングはそのような違いや価値を人の心に刷り込んでいく過程となる。そしてこのブランディングはもちろん人を対象にしても可能であり、そこらへんを今日お話しようかと思います。

ブランディングとは”みせたい自分”と”みられてる自分”とのギャップを埋めていく作業でもあるように思います。”みせたい自分”とはつまり自分が他者に持ってほしい自身のイメージであることに対し、”みられている自分”とは実際に他者が自分に対して持っているイメージであり、そのギャップを少なくしていき、そして最終的には一致させていく。しかし、ブランディングもただ闇雲に”みせたい自分”の姿を売り込んでいけばよいというものではありません。まずどんなイメージを売り込むのかということも考えなければなりませんが、このイメージ選びにこそセンスが問われてきます。その時代の流れや、人々の好みの傾向、自身の特性など、様々な要素を考慮した上でのイメージ選びが必要であり、間違ったものでブランディングをしてしまうと需要に合わず期待した結果に繋がらないということになってしまいます。

またこのセンスに関してはピッチの上でも問われてくるように感じています。ここでは”みせたい自分”と”求められる自分”。この2つの自分との間に大きなギャップが存在するようであればプレー時間は多くはならないでしょう。私自身実際になぜあのプレイヤーが使ってもらえないのかという状況を経験することもありましたし、みなさんも代表などのメンバー選考に関して熱い議論を繰り広げることもあるでしょう。もちろんここがプレー時間の全てというわけではありませんが、やはり自分はこういうプレイヤーなんだという”ブランド”としてはっきりしているプレイヤーはそういうプレイヤーを必要とする環境に出会えやすいだろうし、その分迷いも少なくなると思います。チームの監督に求められるもの、モダンフットボールのトレンド、ここにも様々な要素が存在し、そのなかで”みせたい自分”と”求められる自分”とのちょうどよいバランスを見つけるセンス。こういったことも自分に足りないところなのかもしれないと感じています。

ピッチ外の部分に関しても、私のことを知ろう、理解しようとしてくれる人たちの存在に昔から恵まれていて、今までであればそれで充分だったかもしれません。しかし、今年から新しくLiprondで始めた挑戦のことを考えるとそれでは不十分であり、もっと自らが行動を起こしていく必要があります。実際、そういった部分をないがしろにして競技にばかり目がいってしまうため、マネージャーにも迷惑をたくさんかけてしまっていることでしょう。今思えば競技ばかりに集中している私と、違うエリアでの活動も求めるマネージャーとの会話が噛み合わないことも多々あり、そのときに私も気付くべきでした。私とマネージャーという狭い関係性ですら噛み合っていないのに、このまま走り続けても無駄に時間が過ぎていくだけ。

選ぶセンスに、それを発信していく行動力。ピッチ上でも外でもまだまだわたしには足りていないことで、課題は山積み。マネージャーもほとほと呆れかえっていますが、怒られながらでも、失敗を重ねながらでも、少しずつ成長していければなと思います。

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Published on May. 13, 2019 by Serina Kashimoto #73