さすがテレビの力、いや、情熱大陸の力なのか。個人的にはもっと早くから注目を浴びていてもおかしくなかったと思いますが、最近メディアへの露出もかなり増えてきましたね。実際のものは知りませんが、私のなかの流行語大賞はもちろん”走らせ屋”。そうです、あの岡崎慎司選手の足を速くしたとして知られる杉本龍勇さんです。頻度としてはそう多くはないものの、私も4年ほど前から指導していただいているので、今日はその4年間を振り返ってみようと思います。私的には杉本さんとの出会いの成り行きも運命的なものを感じているのですが、そこらへんは今日の内容にあまり関係ないので省きます。(笑)
初めてのセッションの前日は興奮しすぎてあまり寝られず、若干寝不足なコンディションで臨みました。肝心のセッションも極度の緊張から手と足が一緒にでたりと、まあ私の動けなさを憧れの杉本さんに披露しただけで終了。(笑)その年は運良く年末、年明けと2回も指導してもらえたものの、それからは基本的にアメリカから一時帰国する年末に指導してもらってきました。初めの頃はノートにまとめたトレーニング内容とそれぞれのポイントをただひたすらに繰り返す日々。ボールの蹴り方や止め方などは意識してきていても、走り方や身体の動かし方までを意識してきたわけではなかったため、とにかく杉本さんに指摘されたことを忠実に繰り返すだけで当時の私には精一杯だったのです。繰り返すなかでもこなすだけにならないようにポイントを意識しながら1年間トレーニングを続け、年末の杉本さんとのセッションで自分でやってきたことの答え合わせをしつつ、また新たな課題、動きを学び、また次のセショッンまでトレーニングを続ける。最初の頃はずっと望んできてようやく掴んだチャンスなのだからしっかり継続していかなければという思いでしたが、その認識が変わる習慣は唐突に訪れました。1番最初の杉本さんとのセッションを終えてからの初めての夏、私はサマーリーグでプレーするために、NY、マンハッタンに滞在していました。当時のサマーチームは週3でしかトレーニングがなく、そのため片道30分かけてフィールドまで走っていき、自主練をした後にジムで筋トレ、そしてそこからまた走って帰る毎日を送っていました。いつものようにフィールド横で杉本さんのトレーニングを行っていたある日、今まで感じたことのない感覚を覚えます。それまで意識して足を上げていたのが、まるでゴムが伸びた状態から収縮するように勝手に足が回転していくように感じたのです。当時はまだ毎回そんな感じになれたわけではなく、ゆえにもう一回、もう一回と、普段は長くても30分くらいしかやらないのに、その日は1時間くらい走り回りました。(笑)その日を境に、私は走ることは楽しいと思うようになりました。陸上の短距離の選手達をみては、走るだけのなにがおもしろいん?と思っていた私がです。(陸上関係者のみなさん、申し訳ありません!)
そんな杉本さんのトレーニングを続けてきて早4年。最初はただ言われたことを忘れないようにするだけで精一杯だった私ですが、最近ではなんとなくでも杉本さんがそれぞれの動きがなぜ大切なのかなどの説明をしてくれるものを頭でちゃんと理解できることが多くなってきたように思います。そしてそれができるようになってきたからこそ、私の自主練の方法も少しずつ変わってきています。昔はひたすら言われたことを守りながら繰り返していただけだったのが、今では自分で動きを振り返ってみて修正したり、このエクササイズで言われたポイントはこの動きでも重要なのでは?と思考しながらやっていくことで、初めの年からやり続けてきた動きもよりやりやすやを感じるようになってきたのです。そしてそんななかでも、杉本さんのセッションは毎回新しい気づきが満載で、セッションまでの道のりは期待に胸膨らませながら、帰りの道中ではすでに次のセッションが待ちきれない気持ちで一杯になります。(笑)1番最近のセッションもかなり刺激的なものでした。また新しい課題を見つけられたことはもちろん、今年のセッションのテーマを意識してウォームアップをするとかなり調子がいいのです。正直今までの私にとってのウォームアップはとりあえず怪我をしないためにも体をあたためても、あまりやると逆に疲れるのでそこそこまでに抑えていました。また控えとしての試合中に行うウォームアップはさらにつらく、いつ出番がくるかもわからないなかでいつでもいける状態を保たなければなりません。今まではただ単に体を動かしていたのですが、ある日、どうせなら杉本さんのトレーニングをポイントを意識しながらやってみようと思い立ちました。するとどうでしょう。今までは動けば動くほど疲れていっただけだったのが、動けば動くほど身体のキレがあがっていくように感じられたのです。さすが、杉本さん。これはだれでも足速くなりますね。
ただ、そんな杉本さんでも、一人だけの力でここまで来れたかというとそれは違うと思います。なぜなら岡崎慎司選手の足を速くしたとして知られるには、その岡崎選手自身の頑張りが必要不可欠だからです。杉本さんはもともとは岡崎選手のパーソナルトレーナーとしてではなく、当時岡崎選手が所属していた清水エスパルスのフィジカルコーチとして出会いを果たしています。変わるための、上にいくためのチャンスは、当時チームに在籍していた選手全員に等しく分け与えらました。そのなかで岡崎選手がいまこれだけの実績を残してきているのは、他でもない岡崎選手自身が現場に満足せず、必要なことを当たり前に続けてきたからです。サッカーの技術にしてもまだまだ伸びてきて、成長に年齢は関係ないということを今も証明し続けています。そしてこのことこそが今回私が杉本さんをテーマにブログを書こうと思ったきっかけです。杉本さんへの関心が高まってきていることで、Youtubeなどにも杉本さんが出演された動画が数多くあがっていたり、長友選手の体幹トレーニングのときのような一種のブームみたいになってきている印象を受けます。このトレーニング系のブームに関してはだいたい商業目的で間違った知識とともに発信されることが多いのですが、自身の経験から杉本さんの指導は正しいものであると言い切ります。ですが、このブームの落とし穴はもう一つあって、それはブームが過ぎ去ってしまうとその途端にやめてします人が多々現れることです。いくら杉本さんが正しい方法を発信しようとしても、それがやる側に届かなければ意味がありませんし、だれも足が速くなることはありません。現役中に杉本さんに出会え、指導してもらえることは私にとってかなりの幸運であると思っていますが、それでも私よりもっと若い、それでいて杉本さんのトレーニング理論などが一般的にも知られてきたいまの環境に生きる選手たちをうらやましいとも思います。だからこそ、そんな選手たちにはその幸運を無駄にしないようにしてもらいたいですし、私は杉本さんの教えが正しいことを証明するためにも結果にこだわっていかなければなりません。
If any of my Butler friends are seeing this post, sorry! I didn’t have any Butler gears back then lol