17-18シーズンの前期が終了しました。このブログを読んでくださっている方はすでにご存知かとは思いますが、とにかくドイツに来てからの時間はとてもしんどいものでした。サッカーが楽しくない、何回アメリカへ帰りたいと友達に愚痴ったことか。(笑)努力を続けて結果を出し、アメリカのリーグへ移籍する。それをモチベーションにやっていました。ただ以前の投稿にも書いたように、最悪にも思えたこの状況でも周りにはとても恵まれ、本当に様々な人が助けてくれました。
チームメイトの一人である、中国系カナダ人のダニ。彼女はOhio Stateというアメリカの大学を卒業しており、アメリカの大学の話で盛り上がったり、なにより私が周りの言葉に萎縮してしまっていたときにいつも気を遣って声をかけてくれました。なにをしてもコーチ陣に否定され続けていた頃、ドリブルでぶち抜いてゴール前にスルーパスをしようものならそれはやりすぎと怒られ、ミスではなくても監督の意図と違えばすぐに怒鳴り声がとんでくる。まあここらへんに関してはただ単に私自身がどれだけ怒鳴られようが簡単に流せるようになっただけで、いまでもあまり変わっていないのですが、当時の私は律儀にも一つ一つの言葉を受け止めようとしたことでミスを恐れるようになり、酉年だけにどんどんチキンになっていきました。(笑)ダニにもその心境の変化は伝わっていたのでしょう。コーチや他のチームメイトに怒鳴られるたびに”大丈夫だから、自分のプレーをやればいいよ”といつも声をかけてくれました。残念ながらいくらダニが気を使ってくれても、受け取る側の私が変わらない間は彼女の言葉が私の緊張をほぐすことはなかったのですが、彼女の助けなしには私がここまで調子をあげることは難しかったと思います。
またダニの両親がドイツを訪れていた際、彼女のお父さんも私に声をかけてくれました。初めて会ったときはまさに不調に苦しんでいたときで、ダニのお父さんに”ドイツでの時間楽しめてる?”と聞かれた私は言葉に詰まり、結局そのまま答えることはできませんでした。そんな私にかけてくれた言葉は今でもはっきり覚えています。”アメリカ時代のビデオをみたけど、それだけでもすごくサッカーが好きなんだなって分かったし、みててとても楽しかった。今は周りに遠慮してしまっているようにみえるけど、もっと自由に自分の思うようにプレーすればいいんだよ。” 練習前だったのですが、彼の言葉は少し涙腺にきました。(笑)その後も一緒に食事に行ったり、その度にいろいろアドバイスをくれました。連絡先の交換をして、カナダに帰った今でもたまに心配してメッセージをくれます。
チームに帯同できないときは、2軍のチームで一緒にプレーさせてもらいます。先週の日曜もトップチームの試合がキャンセルになってしまったので、監督に頼んで試合に帯同させてもらいました。普段一緒にトレーニングしていない選手が試合にでることに関して一切の不満を言わず、いつも笑顔で受け入れてくれる選手やその保護者。同じクラブとはいえ、チームに所属しているわけでもないのにトップで苦しんでいた私を心配し、いつも連絡をくれる監督。一緒にプレーさせてもらっているのは私のほうであるにも関わらず、せりなのプレーをすればいいと言ってくれて、徐々に自分のプレーを取り戻せていけました。
この前期は苦しい時間であったからこそ、周りで支えてくれる存在のありがたみを再認識することができ、またプレーにも少し変化があったように思います。最近は4-4-2のシステムに変わったのですが、基本的には4-2-3-1のシステムで、私は1トップとしての起用がほとんどでした。もともと高校のときにボランチをクビになった原因も敵を背負ってプレーできないからだったのですが、アメリカに行って多少はマシになったものの、ドイツへ来て1トップという常に敵を背負うポジションにはとにかくテンパり続けました。とにかく前でボールを収められない。解決策を求めてGoogle先生に問いかけたり、Youtubeでビデオをみまくりました。そしてたどり着いたのがポジショニング。昔から私は体力があるほうで、ボールに常に触っていたいし走れてしまうがゆえに、とにかく常に動き続けていました。ただ一番前のあまりスペースのないところで動きつづけると、本当にほしいここぞというタイミングを逃しがちですし、そのなかでボールを収めるということは少なくとも私にとってはとても難しいことでした。そこでオフェンス時の行動範囲をかなり狭め、いつもならここにポジショニングするという位置から数歩だけずれた位置にポジショニングをするようにしました。前でもプレーに慣れている選手にとっては常識なのかもしれませんが、私にとっては目にも鱗な発見でした。(笑)残念ながらトップの試合は2週続けてキャンセルとなったため実践では2軍の試合でしか試せていないのですが、ほんとに小さなツイストでありながら大きな効果を得られた手応えはあります。また高校卒業から5kg増やして身体のベースを作ってきましたが、最近はその身体をいかについこなすかに重点をおいてトレーニングをしています。その主が杉本さんのトレーニングであり、チームトレーニングでは間合いを詰めるための加速と減速をかなり意識することでボール奪取率も上がってきているように思います。
もちろん今書いてきたことはまだまだ成長段階で、これからもっと磨いていかなければなりませんし、まして実践で成長を証明できていないうちは実際がどうであろうと所詮は私が口で言っているだけに変わりありません。苦しめば苦しむほど、周りの存在に気づかされ、そしてそれがプレッシャーではなく、純粋に頑張りたいという気持ちに繋がる。一人で頑張っていてすごいねと周りは言ってくれますが、私はいままで一度も私だけの力で生きてこれたことはありません。大きな声で自慢できることではありませんが、自分が好きなことをしているだけなのにそれに共感して応援してくれる人がこんなにもいてくれる。本当に幸せな人生を生きさせてもらってます。その幸運を無駄にしないためにも、与えてもらう側から与えられる側に立つためにも、まずかこのウインターブレイクを有意義に使っていこうと思います。