May 30 Saturday 2020

コロナ禍とwith/afterコロナの世界 -show must go on-

今回のコロナ禍のなか、自粛が始まってすぐの頃。今までは日本が大変でも違う国の友人たちに助けを求めたりできていたことが、今回は海のずっと向こうに住んでいる友人と同じことをリアルタイムで経験している異常自体。感染拡大を防ぐために、生活における優先度が低いものからどんどんと自粛となっていき、スポーツを含むエンタメ業における危機感や不安も強く感じていた。個人的にも、今までやりたかったことを本格的にやっていこうと挑戦を決めて始めだしたタイミングでもあり、1人で自宅で過ごす時間で余計なことまで考えてしまう。ただ、それと同時に、”スポーツが生き残っていくためには今までより人々の衣食住的な位置に近づいていかねばならない。”そんなことも漠然とだが考えていた。

多くの方が犠牲となり、いまも様々な意味で闘い続けている人たちがいるなかで、自分の生きる場所だからと言ってスポーツの存在意義などを語ることはもしかしたら不謹慎なことなのかもしれない。実際、今回のような状況化のなか活動の自粛規制がなされ、スポーツにしても、エンターテイメントだけであり続けるのであれば、その存在はいよいよ危ないという危機感すらおぼえた。しかし、実際に自粛期間を過ごしてみて、引きこもり続けて塞ぎがちになる心を癒してくれたのは、タイムラインで流れてくるアーティストの歌声やどんどん公開されていく昔の名作など、エンターテイメントの存在だった。確かに物理的に社会をまわすという意味ではエンターテイメントは不要不急のカテゴリーに入ってしまうのかもしれないが、エンターテイメントというものはその社会をまわす人の心のガソリンとなる。あり方を変えつつ、その存在感を人々の心の中に示していた”show must go on”の精神。かっこいい。

スポーツ関係者も様々な工夫を凝らして、ファンやスポンサーとの交流や新規ファンの獲得などを促していた。そうやって熱を絶やさぬよう続けてきてくれて、ようやくいま、不安定ながらも”with/afterコロナ”のフレーズに入ろうとしている。私たち選手もピッチに戻り、あるべき姿に戻りつつある。(チームトレーニング開始はもう少し先だが)ピッチに立ってこその選手としての表現の場を失っていたからこそ、コロナ禍のなかで再確認したエンターテイメントが持つ力をピッチで存分に発揮していきたいところだが、同様に今回の経験からおぼえた危機感からも学びを得るべきであるようにも思う。

冒頭でも述べた、”スポーツが生き残っていくためには今までより人々の衣食住的な位置に近づいていかねばならない。”というところ。いまのところの答えが対談動画でも話をしている”スポーツデザイン”であり、それをより研鑽していくためのピッチ外での活動で、できればそれにチームも巻き込んでいければと考えていたところにチームメイトにかけられた言葉。”無理に巻き込むのではなく、やりたいことを表現できる楽しさをまずは伝えられたらいいよね。”と。うん、難しい顔をした大人のところに子どもは寄ってこないし、大人相手でもそうだ。コロナの影響でマイナスも確かにあり、いまもwith/afterコロナの世界におけるスポーツの姿ははっきりとはしていない。けれども、それすらを埋めてさらに溢れ出すくらいのプラスを仲間たちとともに生み出していきたいと思う。

“Show must go on”

これからを考えると現実を見据えた活動は必要不可欠だ。だけど、サッカー選手だってエンターテイナー。現実を見据えつつも、ショーは続けていかなければならない。

Published on May. 30, 2020 by Serina Kashimoto #87