May 07 Monday 2018

文武両道は可能?

さて、今日のテーマは文武両道です。私のブログは初めてという方は”文武両道とアメリカの大学でサッカーすることに関係あるの?”と思われるかもしれませんが、大有りです。(笑)アメリカではきちんと勉強をしていなければ競技への参加資格を失ってしまうからです。

日本ではサッカーチームが単位制の学校と提携したり、学校にサッカー専攻コースみたいものを設置することで、勉強の時間を極力減し、サッカーの練習にできるだけ時間をさくような動きに関する報道を目にしたことがありますが、個人的にはあまり賛成できません。少子化の現代で生徒集めのために工夫をこらす学校側の意図はわからなくもありませんが、これらは選手たちの人生における賞味期限を短くしているだけのような気がしてならないのです。かくいう私も高校を卒業してアメリカへ行くまでは勉強よりも練習、とにかく練習量では誰にも負けたくないと思っていました。そしてそんな私を変えてくれたのがアメリカでの大学生活でした。

アメリカではパフォーマンスだけでなく、成績優良者でかつパフォーマンスがよかった人を表彰する習慣があるくらいで、きちんと授業をとって、ある程度の成績を収めなければ競技への参加資格を失ってしまうのです。そしてこれは赤点をとって顧問の先生に部活停止を告げられような軽いものではないため、再試で点がとれればすぐ復帰というようなこともありません。ディビジョンによって数字に多少の違いはありますが、NCAAは取得単位数、GPA(成績)、そして卒業に向けてプログラムの何%終えられているかなどをチェックし、基準に届かずアカデミックレッドシャツをしなければならなかったり、競技の参加を完全に禁止される人もでてきます。(Butlerではそんな人は見たことはありませんでしたが)

最悪を避けるためにもコーチ達はチーム独自の決まりごとを作り、新入生は必ず一番前の席に座らせるようにしたり、また前期の成績が悪かった生徒はStudent-Atlete用の合同勉強会への参加を義務付けられます。また成績の良し悪しに関わらず勉強へのサポートも充実しており、自身の専攻別のアドバイザーに加えStudent-Athlete専門のアドバイザーがいたり、家庭教師も頼めば無料で手配してくれます。

そして一番の驚きはアメリカの学生の勉強へのモチベーションの高さです。Butlerは全米でみてもかなりレベルの高い男子バスケチームを持っており、その実力はほぼ毎年プロ選手を輩出しているほどです。そんなチームでプレーするくらいの選手だから勉強なんてそっちのけでバスケだけやってきたのだろうと思われるかもしれませんが、それは大きな間違いです。専攻に関しても将来のこと考えた上で選択し、また全国で名前を轟かせる選手ほどクラスルームでの成績もトップクラスでした。これは私のチームメイトたちに関しても同じで、なかにはサッカーをするために渋々という人もいましたが(笑)、基本的にはしっかりと将来のビジョンを持って勉強に励んでいて、チームメイトたちのそういう部分をとても尊敬していましたし、とてもかっこいいと思いました。そんな環境で生活をするうちに”勉強しなければ”というよりは、”もっといろんなことを学んでみたい”と思うようになり、そのために効率よくクラスをとれるように自分専用の専攻をつくり、成績優良をもらっての卒業を迎えることができました。まあ私の成績に関しては実際には単に私のアドバイザーであり、アメリカでのお母さんがスタンフォード出身で私にはもったいないくらいに優秀な人だったというだけの話ですが。(笑)
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文武両道は可能か?ここまで読んでくださったみなさんはすでにこの答えはお分かりでしょう。答えは可能であり、またトップレベルを目指す人こそきちんと勉強もしておくべきだと思います。どんなに実力があろうと永遠に現役を続けることは無理ですし、もっと言えば明日選手生命を絶たれるほどの大怪我してしまう可能性だってゼロではありません。そのためセカンドキャリアへのビジョンも持たず、ただ何の気なしに競技を続けることは自分で自分の人生における賞味期限を縮めてしまっていることにかわりないのです。私が尊敬している杉本先生から以前、”スポーツ選手である前に人としての魅力が多くの人をひきつけ、結果、それがプレーに幅をもたせる”という言葉をいただきました。私は本当にその通りだと思いますし、そういう人物になるためにも今日お話したようなことは大切になるのではないでしょうか。

最後まで読んでくださってありがとうございます! 次回はアメリカのでのシーズンに関して書いていきます!

Published on May. 07, 2018 by Serina Kashimoto #66